大企業が黒字リストラをやる一方で、
「株主配当・内部留保>設備投資>社員還元」
という資金配分の優先順位が実態として根強いのが、日本の企業ガバナンスの今です。
2025年の実績でズバリ確認できるデータ
実質賃金:
2025年通年で前年比▲1.3%(4年連続マイナス)。
名目賃金は+2.3%(春闘で大企業5.5%前後)と過去33年ぶりの高水準だったのに、物価(CPI持ち家帰属家賃除く総合)が+3.7%上がって完全に負けました。
名目賃金は+2.3%(春闘で大企業5.5%前後)と過去33年ぶりの高水準だったのに、物価(CPI持ち家帰属家賃除く総合)が+3.7%上がって完全に負けました。
企業利益:
経常利益は過去最高圏。内部留保(利益剰余金)は637兆円で過去最高更新。
配当・自社株買い:
総株主還元性向が50-60%台まで上昇(欧州並み)。「資本効率向上」「ROE重視」の名の下で株主還元が優先されやすい。
設備投資:
増えてはいるが、内部留保増(283兆円/10年)に対して有形固定資産は74兆円増と伸びが鈍い。
人件費:
労働分配率は53.9%(1973年以来51年ぶり低水準)。海外利益の還流も4割超が海外に留まる構造(円安で海外子会社利益が膨らむのに国内賃金に回りにくい)。
つまり「黒字だからといって社員に回すとは限らない」どころか、円安・物価高で名目利益は膨らむのに、実質購買力は目減りという悪循環が続いています。
各種増税・負担増の影響も確実に効いている
・社会保険料(厚生年金・健康保険)の企業・個人負担が年々上がっている(2025年度も標準報酬月額改定で実質増)。
・消費税は据え置きだが、実質的な負担増(物価高で同じ買い物でも税負担感が増す)。
・エネルギー・食料品の輸入依存で円安が直撃 → 物価押し上げ → 実質賃金目減り。
政府は「賃金・物価の好循環」を連呼して電気・ガス補助金や最低賃金引き上げをやっていますが、2025年は結局実質賃金マイナスで終わりました。黒字リストラ(2025年43社・約1.8万人、うち黒字企業が募集人数の85%)も、まさにこの文脈。「今儲かってるうちに高コストの中高年層を切って、将来の成長投資や株主還元に振り向けよう」という企業論理です。
2026年はどうなる?
・物価上昇率は食料高の一服+政府対策で2%前後に鈍化予想。
・春闘は再び5%台の賃上げが見込まれている。
・→ 実質賃金はようやくプラス転化する可能性が高い(多くのエコノミストが「26年は+0.5%前後」と見る)。
以上のことは、「やっとマイナスから脱出」レベルで、コロナ前(2020年)比ではまだ実質3%近く目減りしたままです。構造が変わらない限り、「黒字でも社員還元は後回し、リストラは容赦なし」という構図は続きやすい。
「会社が黒字化しても給料が必ずしも上がらない」どころか、実質は減り続けるのがここ数年の現実です。
企業は「人的資本投資」「キャリア自律」と美しく語るけど、資金の流れを見ると株主・内部留保・海外再投資が最優先で、社員は「コスト」として最適化される側面が強い。
これが「曖昧戦略」や「黒字リストラ」の本質とつながっているのです。
企業は「人的資本投資」「キャリア自律」と美しく語るけど、資金の流れを見ると株主・内部留保・海外再投資が最優先で、社員は「コスト」として最適化される側面が強い。
これが「曖昧戦略」や「黒字リストラ」の本質とつながっているのです。
結局、日本の大企業が本気で「社員還元」を最上位に置くようになるには、労働分配率の意識的な引き上げか株主圧力の変化か税制インセンティブ(内部留保課税とか)のどれかが必要です。
今の流れだと、若手は「会社に頼らず自分の市場価値を上げろ」となるのも当然である。
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